ボランティアガイドを徹底ガイド
 今日「新宿御苑みどりの日の集い」では、ガイドボランティアも総力をあげて「新宿御苑内の自然観察会」を開催しました。本部テントで受付を済ませたお客さまを、歴史や建物、植物などの観察をしながら、新宿御苑を新・再発見していただく、およそ2時間のツアーにご案内しました。
 お客さまが10人ほど集まると、さっそくガイドが2〜3人付き添ってガイドツアーは出発しました。午前10時から午後2時過ぎまでに、何組のツアーが出発したでしょうか。参加したお客さまの正確な人数は把握できませんでした。なにしろ御苑内をお客さまと散策していると、途中からツアーに参加する飛び入りのお客さまもあり、終わるころには人数が倍以上に膨れあがっていることもしばしばありました。
 自然がいっぱいの今日の新宿御苑内で、ガイドはさまざまなコースをたどってお客さまをご案内しましたが、そのうちのひとつを、コースの順を追って、写真と簡単な解説でご紹介します。ボランティアガイドのガイドぶりを、徹底的にガイドします。
 掲載してある写真の順に解説も読んでいただくと、およそ2時間の新宿御苑内の散策ができる仕掛けになっています。
 ここにご紹介するコースは、ほんのひとつの例です。お客さまのご希望により、季節により、咲いている草木の花により、天候により、ご案内するコースはさまざまです。
 では、受付を済ませた方から、ガイドツアーに出発です(いつものガイドツアーでは、予約や受付を必要としておりません)。

シーン01
本部テント前です。いつものガイドツアーの案内板の上に、本日特別開催のガイドツアーの案内が上書きされて掲示されています。
シーン02
本部テント内です。ガイドたちは、出発前に今日のお勧めコースについて打ち合わせを行い、咲いている草木などの情報を交換します。
 
シーン03
本部テント前です。ガイドツアー受付が行われています。ガイドツアーの情報を聞きつけて、わざわざ遠くからきてくださるお客さまもあります。
シーン04
今日は、平成13年6月からはじめた「Let's モバイル新宿御苑」のセルフガイド小型パソコンも登場し、ナビゲーションシステムGPSを利用したセルフガイドシステムによるご案内も同時に行いました。
 
シーン05
ガイドツアーの出発前です。新宿門脇の御苑案内板を使い、御苑の歴史などについて、江戸時代前のことから現代までをたどる、簡単な解説が行われます。
シーン06
セルフガイドシステムについての簡単な解説と、衛星により御苑内での位置情報をキャッチし、その場にふさわしい解説をダウンロードして画面表示できることなどを解説します。
 
シーン07
御苑名木のひとつ、ヒマラヤシーダです。この木の下に入ると、上から冷気が降りてきて、とても涼しく感じられます。周りから隔絶された、いやしの世界に浸っているような、ほっとした気持ちになれます。
シーン08
ハンカチノキです。例年なら、今ごろがちょうど花の見頃なのですが、今年はずいぶん早く咲いてしまいました。たったひとつだけ、お客さまのために花が残っています。満開のときは、木全体にたくさんの白鳩がとまっているようだった、と苦しい解説です。
 
シーン09
御苑名木のひとつ、プラタナスです。ビッグママ(偉大なお母さん)といった感じです。モミジバスズカケとも呼んでいます。ここでいう「スズ(鈴)」は、山伏が首から下げている、あの球状の鈴のことです。今なら昨年の鈴と今年の鈴を見比べることができます。この木の幹周りは、両手を広げた大人6人分以上あります。
シーン10
歩いていると、足下がふかふかしています。御苑では、刈り取った枝などは、細かなチップ状にして苑内に散布し、すべてリサイクルしています。これらが自然に堆積してできた土は、栄養分が豊かで、多くの小動物や微生物を育んでいます。
 
シーン
レバノンシーダです。材質がとても堅固なので、建材などとして汎用されています。現地レバノンでは、ほとんどが伐採されて使われてしまい、現在では苗木を逆輸入しているありさまだそうです。レバノンの国旗にも描かれている、本来はレバノンのシンボル的植物です。
シーン
メタセコイアです。化石の樹木といわれ、一時は地球上から姿を消してしまった植物とされていましたが、中国で自生しているものがみつかり、またたくまに世界に広まりました。成長が早いのと、樹形が美しいので、あちこちでみかけることができるようになりました。
 
シーン13
オオアマナの解説をしています。例年なら、今が見頃です。わずかに名残が残っています。六角星の花は、ダビデの象徴です。
シーン14
御苑名木のひとつ、ラクウショウです。だいぶ若葉が茂り、周りよりも薄暗く感じます。これだけ見事に気根が成長しているラクウショウは、ほかではみることができません。メタセコイアの葉とラクウショウの葉はよく似ています。区別は、メタセコイアが対生で、ラクウショウが互生です。
 
シーン15
武蔵野の雰囲気をかもしだすこの辺りは、クヌギやコナラの林です。ひと昔前の薪炭林(しんたんりん、まきや炭をつくるための林)を想像させます。秋になると、子どもたちにたくさんのドングリを提供してくれる場所でもあります。
シーン16
日本庭園の入口付近です。うっそうと茂った常緑樹の林を抜けると、目の前がぱっと開けて日本庭園が望めます。日本庭園にお客さまをいざなう、作者の見事な演出です。
 
シーン17
日本庭園が一望できる、通称「お立ち台」です。ここから見渡す日本庭園は、ひとつの大きな絵のようです。草木、石組み、池の配置にも気を配った、作者の意図をうかがうことができます。
シーン18
日本庭園をもり立てているのは、マツをはじめとする樹木です。相手は生き物で、どんどん成長しますから、この庭が造られた当時の面影は残っていないでしょう。
 
シーン19
ドングリの仲間、アベマキです。戦時中はコルクの代用として、樹皮が利用されていたそうです。クリの花に似た、ヒモ状の花をつけます。アベマキの根元はたくさんのクマザサに覆われています。どうしてクマザサと呼ぶか、おわかりになりますか、などと解説です。
シーン20
御苑名木のひとつ、樹齢130年余りのハクモクレンを指しています。早春にたくさんの白い花をつけたハクモクレンは、いま美しい緑一色に包まれています。左手には、楽羽亭(茶室)があります。
 
シーン21
この辺りは、シャクナゲの仲間がまとめて植えられています。ここでシャクナゲやその仲間についての解説が楽しめます。
シーン22
自然の石を組み合わせて造った、石燈篭を指しています。御苑内にはたくさんの石燈篭が配置されていますが、自然石をそのまま使ったものはこの一基だけです。上の石が落ちてきそうな、アンバランスの美しさが魅力です。周りのアカマツと見事に調和しています。
 
シーン23
フジ棚をとおして、台湾閣をみることができます。昭和天皇のご成婚のお祝いに建てられた台湾閣の歴史についての解説が楽しめます。
シーン24
向こうのマツと、このマツで、葉っぱの様子が違います。アドリブで、マツの新芽の剪定についての解説がはじまります。
 
シーン25
台湾閣を造るときに使われた、タイワンスギです。日本のスギよりも材質が堅固で、長年にわたる風雪にも耐えることができます。台湾閣を造るときに使われたタイワンスギは、現地から運ばれてきたものです。
シーン26
ウバメガシです。ウバメガシから備長炭をつくります。備長炭はとても火もちがよく、長時間にわたって遠赤外線をだし続けます。蒲焼きや焼き鳥に使われるゆえんです。ウバメガシは水に沈むほど、木目が詰まっているからです。
 
シーン27
この辺りからイギリス風景式庭園がはじまります。池も風景式庭園には欠かせない素材です。フランスの画家モネーの睡蓮の絵でもご覧のとおり、スイレン池は庭園と一体になっており、芝生から池につながるのが自然です。本来は池の周りに柵などはふさわしくないのですが、万一の事故のことを考えて、お客さまに対する新宿御苑管理事務所の気配りのひとつです。
シーン28
スイレン池は、定期的に掻堀り(かいぼり、池の清掃)を行っています。そろそろ咲きはじめた赤や白のスイレンが、まもなく池一面を埋め尽くすばかりに咲き競います。
 
シーン29
樹木の勉強は、ムクノキ、エノキ、クスノキの区別あたりからはじめます。それらを見分けるコツは・・・、と解説です。
シーン30
御苑名木のひとつ、カツラです。満身創痍です。樹皮に生えたカビを削り取り、ピートモスで覆い、みるからに痛々しく包帯を巻いてあります。この包帯が朽ち果てるころ、新しい樹皮が下にできあがっているとよいのですが。なんとか昔の元気を取り戻してほしいものです。
 
シーン31
イヌザクラです。サクラの仲間ですが、花の形はずいぶん違います。白い房状の、満開の花の写真を示しながらの解説です。
シーン32
秋に薪能(たきぎのう)が開催される場所です。その右手には、オオムラサキ(日本の国蝶)が育つ木としてご存知の、エノキがあります。新宿御苑のエノキは孤立しているので、オオムラサキは集まってこないようです。
 
シーン33
サカキです。一般の神事にサカキとして使われているのはヒサカキで、こちらが正真正銘のサカキです。神社で執り行う神事には、もちろん本物のサカキが使われています。両者の葉っぱを比べてみると、それらの違いがよくわかります。
シーン34
ツツジ山の入口です。咲き終わったミツバツツジの葉っぱについて、解説をしています。
 
シーン35
ツツジ山には、色とりどりのツツジが咲き競っていました。すでに盛りは終わっているようです。残り少なくなった花を指しながら、ツツジの園芸品種などについての解説です。
シーン36
落雷で枯れてしまったアメリカキササゲの前で、ウケザキオオヤマレンゲについて解説しています。ウケザキオオヤマレンゲは、ホオノキとオオヤマレンゲからつくられた、園芸品種です。上向きに咲く白い大きな花が、お釈迦様の台座の蓮華(れんげ、ハスのこと)の花に似ています。オオヤマレンゲはホオノキやタイサンボクなどと同じ、モクレンの仲間です。花に柔らかな香りがあるのが特徴です。
 
シーン37
モミジ山の前です。今、モミジの新緑が見事です。秋になると、早朝の太陽に照らしだされる、燃えるような紅葉が、多くのカメラマンを惹きつける、絶好の撮影ポイントでもあります。
シーン38
ハナミズキについての解説です。今では、街路樹で二番目に多いのがハナミズキです。そのわけは・・・。かつてワシントンのサクラの返礼にアメリカから贈られたハナミズキが、日本人に好まれる花樹になったゆえんです。
 
シーン39
ところが、今年のハナミズキはどうも元気がありません。花が小さいし、勢いがありません。なかには、苞(白い花びらのようにみえる部分)が開ききらないうちに枯れてしまったものもあります。地球温暖化のせいでしょうか。地球環境について考えているお客さまたちです。
シーン40
これが新宿御苑のビスタライン(見通し線)です。イギリス風景式庭園を貫いて、新宿御苑をより広くみせるための工夫がなされています。見通し線の行き着く先に、はじめにご紹介したヒマラヤシーダの巨木があります。
 
パノラマ
今お客さまがみているのは、こんな風景です。新宿御苑がとても広く感じられます。
 
シーン41
今立っているところが、本来なら宮殿が建つはずだった場所で、こちらのフランス式整形庭園の側が正面にあたります。その向こうに正門があります。正門は、天皇がお越しのときだけ開きます、と解説です。
シーン42
フランス式整形庭園には、バラがたくさん植えてあります。まもなくバラがみごろになります。専門のボランティアが、バラの手入れを担当しています。
 
シーン43
芝生広場の周りには、大きな樹木を配置して、芝生広場全体にメリハリをつけています。芝生の緑と木々の緑が織りなす美しさに、お客さまたちも目を奪われています。
シーン44
御苑名木のひとつ、ユリノキです。芝生広場の中心にあります。今まさに、ユリノキは満開です。カラスがユリノキの花の蜜をねらって花を啄ばむので、たくさんの花が地面に落ちています。カラスのおかげで、高い木の上の花を手に取ってみることができます。花を手に取ったあとは、手が蜜でべとべとになります。ひとつの花に、小サジ一杯分ぐらいの蜜を含んでいるそうです。
 
シーン45
この木の高さはどれくらいですか。およそ30メートルあります。お客さまからのとっさの質問にも、うろたえることなく即答できるベテランガイドです。少々時間があれば、簡単な手作りの道具を使って、実際に樹高を計測することもできるのです。
シーン46
御苑名木のひとつ、ホオノキです。痛々しい姿をさらしています。今たくさんの白い花をつけています。周り一面にほのかな香りが漂っています。先ほどご紹介したオオヤマレンゲに似ていますが、ホオノキの花弁(かべん、花びらのこと)は丸みを帯びています。
 
シーン47
ひこばえがこんなに大きくなったハルニレの前で、イギリス風景式庭園のレイアウトについての解説です。お客さまたちは解説に耳をかたむけ、熱心にメモを取ったり、カメラに収めたりしています。
シーン48
御苑の歴史のなかで、ここが皇室のゴルフ場だったことがあります。池越えやロングホールもある、起伏の少ない9ホールのゴルフ場でした。この辺りは4番ホールの第2打地点で、あそこからこっち向きにティーショットを打って、ここから僅かに左ドッグレッグして、グリーンは管理事務所の方向です、とゴルフ好きにはたまらない、楽しい解説です。
 
シーン49
銀葉シーダの前です。正面にみえる(お客さまたちの正面です)のが新宿御苑管理事務所と新宿御苑保存会の事務所です。戦後に建てられた建築物です。新宿御苑のほとんどの建物が、先の戦争で空襲を受け、消失してしまいました。焼け残ったのは、台湾閣と御休所ぐらいです。御苑の歴史を物語る貴重な資料も、ほとんどが消失してしまいました。
シーン50
重要文化財に指定された旧御休所の前です。これで新宿御苑をほぼ一巡しました。およそ2時間に及ぶ散策、お疲れさまでした。何かご質問があればお答えします。それでは、これでガイドツアーを終わります。また皆さまと、新宿御苑でお会いできる日を楽しみにしています。お客さまたちからは、ガイドヘの感謝とねぎらいの言葉が寄せられました。


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更新年月日2002年4月29日

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