野草・雑草づくし
 季節は梅雨、曇り空の肌寒い一日でした。午前中にご案内したお客さまはわずか2人、それでも午後には15人以上のお客さまが集まってくださいました。御苑では、タイサンボク、アジサイ、クチナシ、アメリカデイゴなどの花が咲いています。
 今日お客さまをご案内しながら御苑内でみつけた、野草・雑草をご紹介します。
 ブタクサは、明治時代の初期に渡来した北アメリカ原産の帰化植物です。空き地などでよくみかける植物です。ブタクサの花粉は、花粉症の原因になるといわれています。
 オオブタクサ(クワモドキ)は、ブタクサよりずっと遅れて昭和20年代の後半に日本で発見された、北アメリカ原産の帰化植物です。ブタクサに劣らず、空き地などでよくみかけるようになりました。オオブタクサは、花粉公害雑草の代表種といわれています。
 ヤブガラシはビンボウカズラとも呼ばれ、いたるところでみることができます。やぶを枯らすほど繁殖力が旺盛な、蔓性の植物です。いまの季節、花が分泌する蜜を求めて、たくさんの蝶が集まってきます。
 カナムグラは、道端や荒れ地に生える蔓性の一年草です。カナムグラの「カナ」は鉄のことで、蔓が丈夫で切れにくいことから、鉄にみたててつけられた名前です。茎や葉柄にはトゲがあり、これでほかの植物に絡みつきながら、長く伸びます。全草を乾燥させたものは民間薬として利用されており、解熱、利尿、解毒などの効果があるといわれています。
 タケニグサは、空き地にいち早く浸入してくる、先駆植物です。茎を折ると、有毒アルカロイドを含んだ橙色の汁がでてきます。この汁を殺虫剤として利用していた時代もあったそうです。名前の由来は、この植物といっしょに竹を煮るとやわらかくなるからという説と、竹のように中空の茎をもっている(竹に似ている)からという説があるようです。
 キカラスウリは、やぶなどでよくみかける、蔓性の多年草です。カラスウリの仲間です。カラスウリの仲間の花は、レースのような美しい形をしています。でも、カラスウリの花は夕方から咲きはじめ、朝にはすっかりしぼんでしまいます。美しく咲いている姿をなかなかみることができない花です。(カラスウリの花をご覧になりたい方は、ここをクリックしてください。)キカラスウリの花は、写真のように、朝方まで開いていてくれます。カラスウリの仲間は、夜間でも虫たちを集める知恵として、柔らかな芳香をもっているのが特徴です。
 オオバコは、相撲取り草です。道端や野原でよくみかける、踏みつけられても平気な多年草です。全草を乾燥したものは、利尿効果をもつ漢方薬として、また、種子を乾燥したものは咳止めとして利用されています。生の葉を火であぶったものをはれ物の治療に用いるという、昔からの民間療法もあります。長さ約2ミリほどの小さな種子ですが、水に浸けておくと直径1センチ以上にまで膨れあがるという、種子には不思議な性質があります。これは、種子が独特の粘液層をもっているからです。この50倍にも膨らむ性質を利用して、すぐに満腹感が得られることから、ダイエットに使っている人もいるようです。
 チヂミザサは、ササの葉に似ていて、縁が縮れているので名付けられたものです。夏の終わりから秋にかけて、小さな花を咲かせます。
 リュウノヒゲ(ジャノヒゲ)は、御苑の舗装道路沿いに植えられています。植えられたばかりの頃は、よくカラスにいたずらされて、ほじくり返されていたものです。いま、白色〜薄紫色の花が咲いています。
 イヌタデは、アカマンマです。ままごと遊びの赤飯です。タデ科植物(例えばヤナギタデなど)の若芽は日本料理のつまなどに使われますが、イヌタデは葉に辛味がなく、つまとして利用できないので、イヌ(役に立たない)タデという名前がつけられてしまいました。
 ヤブミョウガは、ヤブに生えるミョウガに似た植物という意味です。50センチ以上にもなる長い茎を伸ばし、その先に白い花をつけます。
 ギボウシは、野草・雑草というよりは、植栽されている植物です。美しい縞模様の葉も鑑賞できますし、ちょうどこれからの季節、美しい花を楽しむことができます。

ブタクサ
ブタクサ
ブタクサ
ブタクサ
 
オオブタクサ(クワモドキ)
オオブタクサ(クワモドキ)
オオブタクサ(クワモドキ)
オオブタクサ(クワモドキ)
 
ヤブガラシ
ヤブガラシ
ヤブガラシの花
ヤブガラシの花
 
カナムグラ
カナムグラ
タケニグサ
タケニグサの花(手前)と葉(奥)
 
キカラスウリ
キカラスウリ
キカラスウリの花
キカラスウリの花
 
オオバコの花
オオバコの花
オオバコの花
オオバコの花
 
チヂミザサ
チヂミザサ
リュウノヒゲの花
リュウノヒゲの花
 
イヌタデの花
イヌタデの花
イヌタデの花
イヌタデの花
 
ヤブミョウガの花
ヤブミョウガの花
ヤブミョウガの花
ヤブミョウガの花
 
ギボウシの花
ギボウシの花
ギボウシの花
ギボウシの花


ガマ
 母と子の森の池の端で、ガマが穂をだしています。受粉が終わり、これから穂がどんどんと成長して太くなる時期に入ります。

ヒメガマ
ヒメガマ
ガマ
ガマ


ムラサキシキブ
 雑木林などでもよくみかける、美しい紫色の小さな実をたくさんつける、落葉性の低木です。家庭の庭などにも植えられています。実が白色のものはシロシキブ、葉が小さなものはコバノムラサキシキブ、実が小さなものはコムラサキシキブ、葉がやぶのように茂るのがヤブムラサキと呼び分けています。
 新宿御苑には、ムラサキシキブとコムラサキシキブがありますが、見分けるコツは、葉のつけ根と実のつけ根が、いっしょなのがムラサキシキブで、離れているのがコムラサキシキブだ、とガイドは説明してくれます。

ムラサキシキブの花
ムラサキシキブの花
コムラサキシキブの花
コムラサキシキブの花
 
ムラサキシキブ
ムラサキシキブ
コムラサキシキブ
コムラサキシキブ


クチナシ
 暖かい地方に多くみられる、常緑の低木です。庭木としてもたくさん植えられています。白色の花にはよい香りがあり、この香りは香水や茶の香りづけに使われます。
 実は楕円形の紅黄色をしており、触ると手が橙色に染まってしまいます。この色素は無害なので、布のほかにも栗きんとんなどの食品の染色に用いられています。
 漢方では、実を鎮静、消炎、止血、解熱などに使います。鼻血が止まらないとき、興奮して眠れないときなどに役に立ちます。
 八重咲きの園芸品種は、結実しません。 

クチナシのつぼみ
クチナシのつぼみ
クチナシの花
クチナシの花
 
クチナシの花
クチナシの花
歌にもうたわれている、クチナシの花です。
 
八重咲きのクチナシのつぼみ
八重咲きのクチナシのつぼみ
八重咲きのクチナシの花
八重咲きのクチナシの花
 
八重咲きのクチナシの花
八重咲きのクチナシの花
八重咲きのクチナシの花
八重咲きのクチナシの花
 
八重咲きのクチナシの花
八重咲きのクチナシの花
花を茹でて三杯酢にして食べると、とても美味です。


今日みつけた、とっておきの花(1)
 アメリカデイゴです。別名カイコウズと呼ばれています。海紅豆(カイコウズ)は、外国からきた、紅い豆科の植物という意味です。そういわれてみれば、アメリカデイゴの花は、マメの花にそっくりです。
 南米ブラジル原産のエキゾチックな、落葉性の植物です。江戸時代に日本へ渡ってきました。
 もともと寒さに弱い植物なので、温室で栽培されていたものと思われますが、地球の温暖化に伴い、東京辺りでも屋外で冬を越せるようになりました。最近では、街路樹や庭木としても使われるようになってきました。沖縄県の県花としても有名です。
 新宿御苑のアメリカデイゴは、温室内でも栽培されていますが、温室の前庭や日本庭園の池の端でもしっかり美しい花を鑑賞することができます。御苑のアメリカデイゴには、よくみると、丸葉のものと長葉のものとがあります。

アメリカデイゴ
アメリカデイゴ
アメリカデイゴのつぼみ
アメリカデイゴのつぼみ
 
アメリカデイゴのつぼみ(拡大)
アメリカデイゴのつぼみ(拡大)
アメリカデイゴのつぼみと花
アメリカデイゴのつぼみと花
 
アメリカデイゴの花
アメリカデイゴの花
なんとも表現のしがたい不思議な形の花ですが、マメ科植物の花によく似ています。
 
アメリカデイゴの蕊(ずい)
アメリカデイゴの蕊(ずい)
中央の茶色い短いのが雌蘂(めしべ)で、周りの花粉をたくさんつけているのが雄蘂(おしべ)です。花弁(花びらのこと)の側からみた姿です。
 
丸葉のアメリカデイゴ
丸葉のアメリカデイゴ
丸葉のアメリカデイゴ
丸葉のアメリカデイゴ
 
長葉のアメリカデイゴ
長葉のアメリカデイゴ
長葉のアメリカデイゴ
長葉のアメリカデイゴ
 
アメリカデイゴの葉のトゲ
アメリカデイゴの葉のトゲ
アメリカデイゴの葉には、トゲがあります。


今日みつけた、とっておきの花(2)
 ツユクサです。露を帯びた草だから、ツユクサです。ツキクサ、ボウシバナ、アオバナなど、いろいろな呼び名がついています。道端や草地の湿気が多い場所を好んで生える、一年草です。ツユクサは、花の形に特徴があります。舟の形をした苞葉(ほうよう)に包まれた、不思議な花に注目してください。
 ツユクサの若葉や花を茹でて、和え物やお浸しにしたり、サラダの素材として食べることがあります。また、花の汁を染め物に利用することもあります。友禅染めの下絵を描くときに使われる青紙は、昔はツユクサの花の汁で染めていました。全草を開花時期に採集し、一度蒸してから乾燥したものは、漢方薬として使われています。解熱、下痢止め、消炎などの効果があるようです。
 うっかり見過ごしてしまいそうな、路傍の小さなツユクサですが、とても不思議な、人間の生活にも役立っている植物なのです。

ツユクサのつぼみ
ツユクサのつぼみ
咲きはじめたツユクサの花
咲きはじめたツユクサの花
 
咲きはじめたツユクサの花
咲きはじめたツユクサの花
ツユクサの花(側面)
ツユクサの花(側面)
 
ツユクサの花(正面)
ツユクサの花(正面)
ツユクサの実
ツユクサの実
 
ツユクサの花
ツユクサの花
ツユクサの花です。この花は、花弁(花びらのこと)が6枚、雄蘂(おしべ)が6本、雌蘂(めしべ)が1本で構成されています。さて、どれがなんだか、わかりますか。
花弁6枚のうち、2枚は鮮やかな青色でとても目立ちますが、残りの4枚は小さく、白色をしており、花の下側にあるので、あまり目立ちません。雄蘂6本のうちの3本は、葯(やく)が鮮やかな黄色でπの字の形をしており、花粉をつけません。仮雄蕊(かゆうずい)と呼ばれています。おもに昆虫を集める役割を担っています。中ぐらいの長さのλの字の形をした1本の雄蘂は、わずかに花粉をつけることがあります。長く突きでた2本の雄蘂だけが、たっぷりと花粉をつけています。


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更新年月日2002年6月22日

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